いきなりですが、私の名刺には、不動産プロデューサーという肩書きが書いてあります。
自分でつけた肩書きではあるのですが、半分しっくり来ておらず、自分の仕事ってなんだろうと思っていたのですが、いよいよ開業を迎える東京の新たな拠点の仕事を振り返ると、不動産プロデューサーという仕事をしていたのだなと思うようになりました。
今回は少しその話をさせていただきます。
TOKYOシェアオフィス墨田
2022年4月1日に、東京都墨田区に新たなワークスペースが誕生します。
その名もTOKYOシェアオフィス墨田(通称:TSO)。
テレワークのさらなる活用など、柔軟な働き方を実践する場所として、東京都が新たにモデル的に開設するシェアオフィスです。
私たちは2年ほど前からこのプロジェクトに関わっており、企画提案・改修工事を経て、4月からいよいよ私たちが運営していきます。
以前こちらの記事で紹介させていただいた施設なのですが、当時は情報公開前で書けないことも多かったため、今回はTSOのストーリーを少し紹介させていただきます。
これからの働く場所のモデルとして
TSOのコンセプトは、スマートワークスタイルとネイバーフッドワークスタイル、この2つの働き方の実践を通して、これからの働く場所のモデルとなることです。
平たくいうと、テクノロジーを活用した働き方と職住近接の働き方です。
テレワークをはじめとした、柔軟な働き方を推進していくために、切っても切り離せないテクノロジー。
日々めまぐるしくアップデートされるテクノロジーを体験し、働き方に活かしていく場所、というのが東京都の最初の思惑でした。
そう、もともとは職住近接という発想はこのプロジェクトにはありませんでした。
職住近接は私たちが提案したことで加わったコンセプトです。
たしかに、テクノロジーがなければ柔軟な働き方は成立しません。
でも、それだけでこれからの働く場所のモデルになれるのだろうか。
働く場所を自由に選べるようになった今、これからの働く場所とはどんな場所なのか。
その問いが、私たちとTSOのはじまりでした。
きっと正解は無限にあるのだと思います。
その中で私たちはTSOでは「地域の中で働くこと」に取り組んでいくことに決めました。
理由は大きく2つあります。
みなさん住む場所はどのような基準で選びますか?
その地域が好きだったり、子育てがしやすかったり、きっと色々な理由があると思います。でも、多くの人はせっかく選んだ場所から離れたところで働いているのが現状だと思います。
近年さらに注目されているワーケーションも選んだ場所から離れる働き方のひとつと言えるでしょう。
だからこそ、せっかく選んだ地域の中で働くことを、改めてこのタイミングで提案したい。
地域の中で働くことで、面白い人とつながったり、地域の魅力を再発見したり、そういった出会いが待っているはずです。
このような地域の中で働く価値をつくっていきたいというのが、1つ目の理由です。
そして、もう1つはTSOの立地です。
TSOはシェアオフィスとしては極めて珍しい立地をしています。
ターミナル駅の付近でも、オフィス街の中にもありません。住宅街のど真ん中にあります。
このような立地にシェアオフィスをつくることは、民間企業にはなかなかチャレンジできません。
TSOは東京都だからこそできる、地域の中で働くモデルの場所になるのだと考えています。
不動産プロデューサーとしての仕事
不動産プロデューサーとしての仕事は劇場づくりのようだと思っています。
舞台が完成して、素晴らしい役者が集まり稽古をして、お客さんが来て、演目がはじまり、そしてそのお客さんが感動して帰るまで、そのトータルをプロデュースするのが私の仕事です。
お客さんは舞台という空間だけでは感動してくれません。
そこで行われる演目や、役者の方々の演技など、その空間や時間に込められた圧倒的な熱によって、感動するのだと思います。
そして、この熱は人と空間が混ざり合うことで生み出されるものだと思っています。
つまり、不動産は空間の完成がゴールではありません。そこからが本当のスタートです。
空間の提供だけでできることには限りがあります。
利用者にどのような価値を提供できるかが重要であり、その鍵を握るのは日々その場所に熱を込めるコミュニティマネージャーと、イベントなどの仕掛けやコンテンツです。
そして、それが末永く続いていくことが大切です。
今回とてもありがたいご縁がたくさんあり、コミュニティマネージャーには魅力的な人がたくさん集まってくださいました。
このチームでこれからどんな熱を生み出していけるのか、とても楽しみにしています。
空間としてのTSOは完成しました。いよいよ開業を迎えます。
でも、私の不動産プロデューサーとしての仕事はこれで終わりではありません。
クライマックスは、これからです。