SALTの名前の由来と、その思いについて

場所の名前であり、わたしたちの社名となっている「SALT」
この名前の由来を聞かれることがしばしばありましたので、改めてここに記しておきたいと思います。

場所としてのはじまり

2015年の4月、福岡市西区の今宿という場所で「Share Office SALT」という名前でシェアオフィスがオープンしました。
スタート時は3社、利用人数も5名ほどでした。

名前の由来

SALT=塩
名前としてはとても単純なモチーフです。

ご存知のとおりですが、わたしたちは実際に塩を作っている会社でも、食品や製造の仕事をしているわけでもありません。

自然の環境から生み出されるものとしての塩、そしてその独特な作られ方を概念として取り入れた塩という名前、そこから”SALT”という発想を行ったものになります。

そこで、まずは塩というものがどのようにできるかを考えてみます。

塩は大別して、岩塩として採掘するものと、海水から濃縮させてつくる自然海塩、
また海水を原料にしながら、ナトリウムとカリウムを抽出して工場で精製するいわゆる食塩というものがあります。

海に面したこの場所にちなんで、まずはこの海と海水に着目しました。

自然海塩は、海水を太陽の陽や風に当てながら濃度を上げていき、そこから窯で煮詰めて塩の結晶を取り出すという、とても手間とエネルギーのかかる作業によって生み出されます。

この中で大事なポイントが2つ、
それが「熱をかけて煮詰めること」「結晶をつくること」

熱をかけること

この場所では様々な人の行き来があります。
わたしたちが場づくりをしていく中では、モノや空間だけをつくるということではなく、そこに人の気配、人間らしさ、活動、人と人の関わりによってできあがってくるもの、
そういった、人が関わることでそれぞれのエネルギーが高まるということを大事にしています。

海のそばで働きながら、それぞれの暮らしや生き方も持ち寄りながら、お互いを高め合う。
SALTという場におけるこの「エネルギーの高まり」というのが、塩を生成するまでの「熱」であると想像しました。

結晶をつくること

熱をかけること、そしてその先に結晶をつくることが塩づくりのプロセスになります。

では、わたしたちが考える「結晶」とは?

例えば
・映像に関わる仕事をしている人同士が共同して映像作品をつくること
・事業者とデザイナーが協働して、新しい製品の開発を行うこと
・企業とクリエーターが出会ってイベントを開催すること

こういう”実態”を作っていきたい、という思いから”結晶をつくる”という行為を連想しました。

また塩の結晶は実は一つではなく、生成される環境や条件の違いで様々な形があるといいます。

このように形や大きさも様々な”結晶”という考え方は、わたしたちにとっては目に見えるモノやコトだけでなく、人との出会いによって生き方やスタイルが変化することでもあります。

多くのエネルギーを吸収したり放ったりしながら、様々な結晶を世の中に作り出していく。
場づくりを通して、そんなことをやっていきたいという思いを、SALTという名前に込めています。

塩を活かす、塩を利かせる

少し視点の違う話で、「調味料」としての塩を考えてみます。

塩は調味料の中でも最もベーシックなものです。
特に天然の塩というものは、その食材本来の味を引き立てて、より美味しくさせる。
ここで塩というものが、結晶として作り出された結果から、新しいプロセスとして生まれ変わってきます。

このような考え方は、今宿に近い糸島で20年天然の塩づくりをして来られた「またいちの塩」さんから多く学んだことでもあります。
今宿という場所でシェアオフィスをはじめて、糸島にも多く関わり、またいちの塩に出会い、そこで実際の塩づくりとして結晶を生み出していく様子を何度も見させてもらいました。
ここで作られた塩を使った美味しい料理や調味料などの商品にも出会いました。

彼らは塩をつくることが目的ではなく、塩を使うことで食文化が豊かになること、食材本来の美味しさを感じること、そこから食べるという行為にもっと意識を向けていくこと、そういう目的があります。
そういった役割での塩というものにも、わたしたちはすごく共感を得ました。

SALTという、組織であり場であり関係性でもあるもの、これがいろんな生き方に刺激を与えて、良さを引き出していく。
そんな存在にもなりたいと思っています。

社名として、場として

SALTという名前がこの10月に新たな社名になりました。

わたしたちが場をつくるということをこれからもやっていくこと、そしてこのSALTという場所を本拠地に、この場所で培ってきた価値観をわたしたち自身として意識を強くもっていくため、SALTという会社名でやっていくことにしました。

人のエネルギーを高め、結晶をつくっていくこと、関わる人それぞれの良さや強みを引き出していくこと。
場づくりだけでなく、いろんな取り組みから、このSALTという名前をこれからも体現していきたいと思います。

(文:株式会社SALT 霜田広太郎)