HOOD天神の歩みとこれから。そしてわたしの探索

来年4月で6年目となるHOOD天神。
コワーキングスペース、イベントスペースとして5年間運営をしてきたHOOD天神が、スペースの拡張と新たなコンセプトを掲げたプロジェクトを開始することになりました。

この5年間のHOOD天神の歩みは、わたし自身の探索の歩みでもあり、今の気持ちとともにこれからのHOOD天神について書かせていただきます。

HOOD天神のはじまり

2016年4月11日。
HOOD天神はアクロスの向かい、水鏡天満宮のお隣という神聖な場所で産声をあげました。
風の人「域外の人材」と土の人「福岡の人材」がこの半地下のスペースで交わり、新たな価値を生み出していくということをコンセプトに西日本鉄道株式会社と私たち株式会社SALTで共同運営を開始。
「風土(ふうど)」そして「neighborhood(=近所、近隣)」という意味が重なり合い、HOOD(フッド)天神と名付けられました。

開業当時はまだコワーキング会員さんが定着していなかったですが、様々なイベントや活動を行なっていたため、半地下の小さなスペースにはいつも人が集まっていた印象があります。

振り返るとHOOD天神開業の3日後である4月14日。熊本で最大震度7の大型地震が発生し、隣県である福岡で私たちは何ができるだろうということをともに考えたく「ぼくらにできることvol.1 -福岡でつながる熊本・大分地震支援-」というイベントを実施したのが、HOOD天神での大きなイベントの始まりです。

その後、

  • 30代の働き方や生き方の選択を考える「TALK!! Work&Local around 30.」
  • まちを素敵にする“はじめた人”とこれから何かを“はじめたい”と感じている人をつなぐ「はじめた人のはじめ方」
  • 映画を観て、社会課題を考える「シネマダイアローグ」

など。様々な身の回りの小さな課題から大きな課題まで、この場所でともに考え意見を交わらせる機会が本当に多くあったように思います。

わたしの探索のはじまり

一方で、2016年当時。わたし自身は東京での生活に一旦区切りをつけ、地元である福岡に戻って来ました。

当時は勢いで帰ってきたと思っていましたが、今振り返るとそこには「もっと自分らしく生きたい」という小さな想いの炎が灯り始めていたのだと思います。
大学を卒業し、なぜ働くのだろうという小さな疑問を抱えたまま、都内の企業に就職した私はいつも周りの声にばかり耳を傾けていました。
クライアントや社内のメンバーが今どう思っているか、何を求めているかを読み取りそれ通りに行動をすることが、正しいと思っていました。
そんな日々を繰り返すと自分がどう思うのか、どう行動したいのかが気付いたら分からなくなっていたということは今だからこそ分かることです。

そんな状態でUターンをしてきたので、福岡でやりたいことも、どういう仕事をしたいかも具体的にはなかったですが、奇跡のようなご縁があり、HOOD天神でのコミュニティマネージャーという仕事をスタートしたと同時に、もう1つ仕事を複業として始めたのでした。
今となってはメジャーになりつつある「複業」というキャリアプランですが、当時は福岡で実践している人も少なく、更には私の経験不足もあり最初の2〜3年はとにかく悩みもがき、苦しい3年間だったように思います。

どんな仕事をすることが成果になるのか、何をどうすれば誰かのためになる仕事ができるのか。
目の前の仕事を必死にこなす傍らで、そんな問いが頭から離れず、時にもうこの仕事を辞めて一般企業に勤めたい、逃げたいと思うことも多々。

しかし、その当時HOOD天神で出会う人たちは、私が東京時代に出会ってこなかったような人たちばかりで、一体この人たちはどんな人生を歩んできたのだろうと、その生き方に好奇心を抱かざるを得ませんでした。

大企業の中で必死に新しい価値をつくろうとして奮闘している人
自分のペースやスキルに合わせて仕事をつくるフリーランスのプロフェッショナルな人たち
子育てをしながら身の回りの人の役に立つことを仕事にする人たち

その人生の描き方は、文字通り人それぞれ彩豊かで、私が特別のように思ってきたキャリアの選択も「わたしの選択」になってきました。

わたしとHOOD天神が交差するところ

そんな経験の中でいつしか、この彩り豊かな生き方がここで混じり合うようなことができないかと考え始め、いくつかのプロジェクトへと繋がります。

はじめたひとのはじめかた

まちを素敵にする“はじめた人”を招いて、これから何かを“はじめたい”と感じている方をつなぐイベントとしてシリーズ開催

HOOD SCHOOL

コワーキングの会員さんの得意な分野、スキルをシェアすることで学びのコミュニティをつくるプロジェクト

この5年間で
コワーキングスペースを利用いただく方とのコミュニティ
「はじめる」を応援することをコンセプトに行ったシリーズイベントや、「ともに学び合う」学びの場での出会い

その数々の出会いと繋がりが、半地下の小さな秘密基地のような場所の色をつくり、真っ白だったキャンバスが多彩な色を纏う1つの作品になっていったように思います。

次の探索に向けて

こうして、言わば1つの作品を作り上げたHOOD天神は、次の作品づくりへと歩みを進めます。

「次のいとなみに、出会う場所 HOOD天神」

というメッセージとともに始まるHOOD天神の新たな探索。

▼リニューアルサイトはこちらから
https://hood-tenjin.com/

その1つの取り組みとして、“Neighborhood Kyushu”を来年1月より本格スタートします。
九州のものづくりや場づくり、サービスづくりを行う方々とともに、HOOD天神で展示やイベント、物販などを行っていきます。
九州で想いや情熱を持って活動をしている方々(=探索者たち)をご紹介するとともに、HOOD天神だからこそできる出会い、体験、繋がりをつくる場にしていきたいと思っています。

そして、この取り組みをご一緒してくださるのが、雑誌「nicethings.」の編集長 谷合貢氏。

ご自身も長崎県五島列島のご出身で、nicethings.の拠点を九州に作りたいという谷合さんの想いや、私たちSALTがこれから行っていきたいことなど対話を繰り返していくうちに、互いの想いに共感し合い、この場所をともに育てていくこととなりました。

更には、HOOD天神2F 天神COLORの運営もSALTにて行うこととなり、ワークスペースも拡張いたします。
単に働く場所が広くなるというだけではなく半地下のHOOD天神と2Fの天神COLORが連携しながら、新たな出会いとその出会いが次の挑戦へと繋がるような場所へと育てていきたいと思っています。

このリニューアルオープンを記念して12月17日には、HOOD天神にて久しぶりとなるイベントを実施いたします。

▼詳細・申込はこちら
http://ptix.at/3izem0

これから始まるHOOD天神の新たな取り組みを少しでも体感していただけるようなイベントになればと思っていますので、ぜひお越しいただけると嬉しいです。

さて、様々な想いや新たな取り組みについて書いてきましたが、わたし自身もHOOD天神とともに次の探索への扉を開きます。
唯一の答えを探し歩くのではなく、今手の中にある少しの武器とともに冒険を楽しむような気持ちで、自分の道を答えにしていく。
そんな探索にしようと今は思っています。

それはきっとHOOD天神のこれからの探索にも近いかもしれません。
ここで繋がる無数のご縁に感謝の気持ちを込めて。

(文:脇山理子(株式会社SALT))